面倒なことは飽きた。
伝えるのは最小限にしてほしい。
「…じゃあ、簡単に説明する」
オーナーはふぅと息を吐いた後、おもむろに立ち上がった。
背の高いオーナーを、私は見上げる。
「まず、一番大切なこと」
オーナーは後ろにある大きめの茶色い棚から、分厚いファイルを取り出した。
ドサッと机にファイルを置いて、開く。
―――女の履歴書…?
多分、ここ白蝶で働いている女の子たちの履歴書。
丁度11ページめ、オーナーは一枚の履歴書を抜き出した。
私は差し出されたそれを受け取り、名前を見た。
「…矢崎 麗奈 ヤザキ レイナ」