不安を感じつつ、バックルームを抜け面接室に入る。
スタッフルームの半分程の大きさで、小さいテーブルを挟んで黒いソファがふたつあった。
その片方にボフッと座り、溜め息をつく。
面倒臭そうな仕事だけど、お金を稼ぐには丁度いいか。
どうして今まで気付かなかったんだろう……。
「…馬鹿みたい」
「誰が馬鹿だって?」
すぐ横から低い声がした。
「…っ!?」
ネクタイを軽く緩めたオーナーが、小さく口角を上げ、私の座っているソファに手をついていた。
「オーナー…」
「待たせて悪かったな」
オーナーは完全にネクタイを首から外すと、空いてるソファに座った。
「さて、何から説明しようか」
「別に説明なんていりません、自分で学ぶんで」