オーナーはやれやれというような顔をして、頷いた。
―――いいのかよ、んな適当で!
「お願いします…っ」
とりあえず形だけでも、と頭を下げると、
「任せてーこっちこっちーっ」
さつきさんは嬉しそうに笑って、私の手を引っ張った。
その場にいた人たちに軽くお辞儀をすると、オーナーは笑って手を振った。
「ここがスタッフルームで、こっちが事務所、んでバックルームの奥が面接室」
さつきさんは私の手を引っ張りながら楽しそうに案内している。
私も、時々笑いを返す。
「これが桜ちゃん専用のロッカー!貴重品とか、私服とか全部ここにしまってね!!」
「はいっ」
「それから、接客の話なんだけど…」
話の長いさつきさんに、私は小さく舌打ちをした。
―――あぁもう、うざいよ、さつきさん。
「大丈夫ですっ、後のことはオーナーに聞きますのでっ」
「そっか、じゃあオーナー呼んでくるから面接室で待っててよ」
「はーいっ」
……私、ここでやっていけるのかな?