「痛いっ…離してよ!!」
「馬鹿が」
どんだけ強いのよ、この男たち。
どんっ、と壁に叩きつけられ、両手を掴まれる。
足の間に九龍さんの足が挟みこまれ、身動きができない。
よくある…非常に危ない体勢。
「っ…!」
「お前は見ちゃいけねぇもんを見ちまった…分かってんのか?」
九龍さんの低い声が私の耳元で響く。
「…し、知りません…っ」
クス…と笑う妖美な顔が、私の背筋を凍らせた。
掴まれている部分が、やけに熱い。
―――怖い。
幼い頃に体験した恐怖の記憶が蘇ってくる。
「…だったら、しょーがねぇな」