―――パキッ


あぁ、お約束。



「誰だ…?」

狂気に満ちた九龍さんが、ゆっくりと私を見る。


思わず固まる身体。



何もかもが違っていた。

声も…表情も。



「っ…九龍さん…ですよね?」


恐る恐る声をかける。



前みたいに優しく笑ってくれる事を、心の片隅で信じながら。




「……見たな」

期待はいとも簡単に壊された。



一体誰なの…この人は。


「捕まえろ」



九龍さんが静かにそう言うと、バッと暗闇から男たちが出てきた。




―――こいつら、いつの間に…っ!!



「私に…っ、触るな!」


小さい頃に身に付けた護身術。




自分の身ぐらい…自分で守れる……っ!!