「ね、治してくれる…?」
単純にこの男と寝てみたい、そう思った。
この男のポーカーフェイスを崩してみたいと思った。
「…九龍、さん」
騙すのは、簡単なことだと思ったのに。
「何言ってるんですか」
「……え?」
「あんまりホストをからかうと、痛い目見ますよ」
ふぅ…と溜め息をつかれ、私の手を軽く払う。
乱れたネクタイを結び直しながら、微笑む。
―――何、この男。
訳の分からないままポカンと口を開けてると、
「今度はお客様としてお待ちしております」
ポンポンと私の頭を撫でて、口角を上げる九龍さん。
私はそのままさり気なく、店の外へ放り出された。
冷たい風が頬を掠め、痛みを覚える。
「……っ!」