―――…
冗談じゃないんですけど。
確か、格好良く別れたを告げたはずなのに。
「もう少し足を上げてもらえますか?」
何で大っ嫌いなホストに手当てしてもらっちゃってんのよ!?
しかも、黒蝶で。
「良いって言ってるのに」
「駄目ですよ、我慢したら余計腫れてしまいます」
……。
私の足首に丁寧に包帯を巻いてくれる九龍さん。
こうやって見ると、やっぱり色男。
―――いいこと思いついちゃった。
「はい、終わりましたよ」
「……」
「どうしました?」
ソファに座っている私の前に跪いている九龍さん。
彼のネクタイをグイ…と引っ張ると、簡単に顔が近くなる。
「私…他のところも怪我しちゃったみたい」
「え?」
切なく、甘く…得意の上目遣いで九龍さんを見上げる。