「愛してる」




幾度、その言葉を聞いたのだろう。

いとも簡単に愛を発する、私のパパ。






「パパ、起きて」


隣で寝ている今月7人目のパパを揺り動かす。

「うー…ん、あぁ…ミキちゃん」

本名は桜井 梓紗 サクライ アズサ(18)



「おはよ、パパ。昨日は楽しかった」


作り慣れた笑顔を向けてやると、親父は嬉しそうに起き上がった。


「そっかー!じゃ、も1回しよっか?」

毛深い腕が私の身体に巻きつく。


―――きもいんだよ禿げ、臭いし。



「だーめっ、1回だけの約束でしょう?また今度ね」


思ってる事と真逆の言葉を、精一杯の甘い声で言ってやる。


親父は一瞬残念そうな顔をしたが、

「わかった、また今度ね」

と、汚く笑った。





―――馬鹿な男。今度なんてないのに。