詩織に付いてやって来たのは、街を一望出来る丘の上だった。そこに一つの墓があり、詩織は先ほど買った花束を墓前に供え手を合わせる。
「ご友人ですか?」
聞くと、詩織は少しだけ笑った。
「ああ…大切な友達だよ」
レイも詩織の隣に屈み、手を合わせた。そして、詩織が小さく呟く。
「さっき、部下はいないと言ったが、二年前まではいたんだ…。一人だけ…」
詩織は墓にそっと触れ、
「ルナ…この地に眠る私の友人だ」
少し肌寒い風が二人を撫で、詩織は物語を読むようにゆっくりと話し始める。
「二年前…この街で、街に用事で来ていた教会の者が襲われる事件が起こり、私とルナはその犯人を追った。犯人は見付けたが、私はミスを起こし、殺されそうになった。それを助けてくれたのがルナだが…私を庇ったせいでルナはそのまま…」