「待ちなさい!ユウリ!」
母親が慌てて呼び止めるが、女の子は猫しか目に入っていないようで真っ直ぐこちらに向かって来る。
女の子が車道の真ん中まで来た時、石畳のちょっとした段差に足を取られ転んでしまった。そこへ一台のトラックがやって来る。
トラックの運転手は運転をしながら地図を見ているようで女の子に気付いていない。
「ユウリ!」
「危ない!」
母親とレイが同時に叫んだ時、チラシを放り捨て詩織が車道に飛び込んだ。
「隊長!?」
詩織が飛び込んでやっと運転手も気付き急いでブレーキをかけるが、間に合う訳がない。
詩織は少女を抱き抱え、反対の歩道に転がり込んだ。トラックはハンドルを切ったのか、詩織達とは反対の歩道の街灯にぶつかり止まった。