ビラ配りはさすがに隊長にさせられないと思いレイがやると言ったが、猫がまた逃げるかもしれないという理由で、詩織が配ると言って聞かない。
あの人はきっと隊長という肩書きを気にした事もなければ、その肩書きを利用した事もないのだろう。
誰に対しても優しく、面倒見が良くてお人よし。本来なら隊員の仕事なのに自らやってしまう。
隊員がいなかったから、つい癖になってしまったんだろう。
他の隊長が見たら詩織は甘いかもしれないが、そんな甘く優しい詩織をレイは好きになり始めていた。
「お母さん、猫だって」
「本当ね」
車道を挟んだ反対の歩道に親子連れがいて、まだ十歳にも満たない女の子がレイのほうを見ていた。見ているのは猫のほうだが。
「見てくるー」
女の子は母親と繋いでいた手を離し、こちらに向かって走り出した。左右も確認せず車道に飛び出す。
あの人はきっと隊長という肩書きを気にした事もなければ、その肩書きを利用した事もないのだろう。
誰に対しても優しく、面倒見が良くてお人よし。本来なら隊員の仕事なのに自らやってしまう。
隊員がいなかったから、つい癖になってしまったんだろう。
他の隊長が見たら詩織は甘いかもしれないが、そんな甘く優しい詩織をレイは好きになり始めていた。
「お母さん、猫だって」
「本当ね」
車道を挟んだ反対の歩道に親子連れがいて、まだ十歳にも満たない女の子がレイのほうを見ていた。見ているのは猫のほうだが。
「見てくるー」
女の子は母親と繋いでいた手を離し、こちらに向かって走り出した。左右も確認せず車道に飛び出す。