簡単なチラシを何枚か作り、街への外出届けをマリアに提出し、レイ達は船に乗って街へ来た。
大きな街は観光地ともなっているので人も多い。綺麗に整備された石畳や街路樹、公園もいくつかあって緑の多い街として有名だ。
街でも一番の賑わいを見せるメインストリートには、車道の両脇の歩道にあらゆるタイプの店が並び、ずっと奥まで続いていた。
レイは一軒の店の前で猫を抱いたまま、呆然と詩織を見ていた。
「よろしくお願いしまーす。可愛い猫ですよー。飼ってくれる人を探してまーす」
誰が見ても守護隊隊長だと分かる格好で、声を張りながらチラシを配る姿はお店の宣伝を任されたバイトのように見えるが、レイの隊長である。
「本当に隊長だよね…」
呟きながら猫を見下ろす。猫は興味なさそうに大きく欠伸した。