「あ、あの…」
思いきって声をかけると、詩織は赤くなった顔を上げ、
「あ、キミはさっきの…」
その瞬間、猫が詩織の顔を踏み台にしレイの腕の中に飛び込んで来る。
「コラー!バカ猫!」
猫を抱いたままレイは詩織に近付く。
「大丈夫ですか?」
「ああ…ありがとう」
「部屋に入れて大丈夫なんですか?」
猫を見下ろしながら聞くと、詩織は困ったような微妙な笑顔を浮かべる。
「ホントは駄目なんだけどね。でも外に置いておくとまたどっか行って、他の人に見付かったらどこに連れて行かれるか分からないから…。部屋に入れた事は内緒ね」
そう言って唇の前で人差し指を立てる詩織。
まあ、第一部隊の詰め所は他の部隊と離れてるから、多少騒いでも大丈夫だろう。それに、外に出すより安全だ。