レイが守護隊詰め所の庭に来た時、声をかけられた。
「レイ」
「隊長!?」
詩織は大きな木の幹に背中を預け、こちらに向かって手を振る。
「寝てなくていいんですか?」
詩織はあの後何とか一命は取り留めたが、医者からは最低でも二週間は絶対安静と言われた。
詩織はレイの心配もよそに、いつものように笑う。
「まだ傷は痛むけど、せっかくのいい天気だ。部屋よりここで寝てるほうが気持ちいいから」
「無茶しないで下さい…」
ただでさえ体はボロボロなのだから。だが詩織は、
「たまには無茶もしないと、大切なものを失ってしまう」
「……」
日の光に照らされた笑顔を見ると、何だか泣きそうになった。レイは詩織の隣に座り、小さく口を開く。