突然の事に訳が分からないレイの目に映ったのは、ナイフが深々と腹に刺さった詩織と、詩織に顔面を思いっきり殴られ気絶したリーダーの姿。
「隊長…?」
何でここに…。何で私を庇った…。何で腹にナイフが刺さっている?
軽くパニックを起こすレイの耳に慌ただしい足音が聞こえ、見ると警官だった。警官が詩織にこの場所を教えたのか。
詩織は自分で腹に刺さったナイフを抜くと、床に仰向けに倒れた。
「早く救急車を呼んで下さい!」
元帥の命令にまた警官が慌ただしく動いた時、レイはやっと正気を取り戻した。
レイは詩織の傍に行き、大量の血を溢れ出す傷口に両手を当てる。
「すまない…来るのが遅くなった」
「喋らないで下さい」
血が止まらない。
詩織の腹も床も、レイの両手も赤く染まっていく。