チラッと元帥を見ると、元帥はじっと男達を見ていた。その表情に恐怖や不安はなく、憐れみだけが見える。
「なぜこのような事を?」
「金が必要だからだ。俺達はこの国を出る。人として扱われる為に」
「このような事をしては、人として扱われませんよ」
「うるせえ!それよりここに来たからには金を持って来たんだろうな!」
「私は元帥を迎えに来ただけです」
隊長命令を無視し、剣一本しか持っていない。当然金があるはずない。
平然と答えたレイに、リーダーはこめかみの血管を浮き立たせ震える怒りの声を吐き出した。
「二人とも殺せ…」
その瞬間、リーダーの後ろに控えていた男二人がレイに突っ込んで来る。
レイは静かにそれを見ながら剣を抜こうとしたが、元帥の声がそれを遮る。
「駄目!レイ!」
「……」