そして
夕日を眺めてから走り出した車は私の家へ近づいた。
私たちは
また明日が来れば先生と生徒に戻るその前に
今日の余韻に浸っていたくて
近くの駐車場に車は止まった。
「ねぇ先生?」
「何だ?」
「私ね、髪を伸ばそうと思うんだけどどうかな?」
「そう言えば髪の長い萌って見たことないからな」
先生が私の髪にそっと触れた。
「ずっと短くしていたから
卒業までに一度、伸ばしてみようと思って・・・」
「いいんじゃない?」
私たちはそんな他愛のない会話をしながら
ゆっくりと流れる時間の中で
この穏やかな時間が続くことを願い
現実を労り合い
そして
お互いを愛おしく思うように
何度もやさしく唇を重ね合わせた。