先生はいつも通りスーツを着替えメガネをかけて隣の部屋から現れた。
「萌、なんか飲むか?」
そう言って
冷蔵庫からジュースを出してくれた。
それを飲んでいると
「いっぱい待っただろ?
遠慮しなくても勝手に飲んでもいいんだぞ。
ジュースは萌しか飲まないんだし」
と先生は続けて言った。
「そんな待ってないよ。
それに留守中に冷蔵庫を勝手に開けるのもどうかと思うしね」
私は得意気に言う。
「萌のそういう所しっかりしているよな」
そう言いながら先生は私の横に腰を下ろした。
「褒めてもダメだよ。
今日、彼女いないって言ってた」
私は頬を膨らませた。
「仕方ないだろ。
みんな、いろいろとうるさそうだし」
私の機嫌を伺いながら話す先生。
「まぁ、今回は許してあげる。
当分わがままを言わない約束だったから」
私はいたずらな目で笑った。
「大人になったな」
先生はクシャクシャと私の頭をなでた。
「でも、本当にこの部屋では自由にしてくれても構わないから」
「ありがとう。
今度来るときは、ジュースとお菓子に‘モエ用‘って書いて置いておくね」
「俺の部屋にこれ以上
萌の物増やすなよ」
私たちは冗談を言い合って笑った。