「ねぇ、さっき言っていたこと本当?」
「何の事だ?」
「その・・・
私を誰にも渡すつもり
ないとか・・・」
小さな声でモジモジ照れたように言った。
「俺そんな事言った?」
先生は何の事なのか分からないという顔をして聞き返した。
「もう意地悪〜」
私は頬を膨らませた。
「必死だったから何を言ったかなんて覚えてないよ」
先生は空を仰いだ。
「じゃあ自習の時に怒鳴っていたでしょ?
もしかして焼きもちだったりするの?」
「萌が他の男の話をしていて、いい気はしないよ」
「それって好きってこと?」
私は調子に乗って目を輝かせ
先生を見つめた。
「さぁな」
先生はそう言いながら
いたずらな顔をして横を向き、
「ケチ」
口を尖らせた私の顔からは嬉しさがはみだしていた。