先生は泣いている私の前で膝を落とし
「悪かった・・・大丈夫か?」
先生の親指が私の涙を拭き
肩を抱いた。
私は小さく首を縦に振り
「ごめんなさい・・・
キスしないとバラすって・・」
泣き顔の私に
先生はやさしく微笑み
「バカだな。
そんな事気にしなくてよかったのに」
そう言って、やさしく頭をなでてくれた。
「俺の方こそ今まで悪かった。
たくさん不安にさせていたんだよな。
桂木の言う通りだ。
俺はこれからも萌の思うようにはしてやれない。
やっぱり不安にさせる事もあると思う。
でも、俺を信じてほしい」
その言葉に一つ頷いた。
静かになった屋上には
校庭で練習している野球部の声だけが響いている。
先生は私の横に座りなおし
「でもバレちゃったよ?
どうしよう・・・」
私は不安そうに先生を見上げた。
「そうだな」
先生は‘フッ‘と笑った。
少し沈黙が続き
「私、やっぱり桂木先輩に話してくる」
そう言って立ち上がろうとした時
先生は私の腕を掴んで引き寄せた
「心配するな。俺が萌を守ってやる。
それに、あいつはそんな奴じゃないよ」
先生は柔らかい表情で私を見た。
「ほんとに?」
「俺を信じろ」