その日の車の中
「もう先生とこんな風に話せないと思ってた」
「どうして?」
「だって・・・・」
桂木先輩の事は口に出したくなくて濁した。
「そんな事気にしなくていいよ」
何でもない風に言う先生。
「そんな事?
先生にとっては“そんな事”で済むんだよね」
小さく呟いて俯いた。
「どうした?」
先生に私の呟きは届いていない。
「ずっと不安だったんだもん。
先生そっけないし、連絡もくれないし・・」
「たまたま忙しかったんだよ」
「本当にそれだけ?」
先生を見つめる。
「萌に嘘はつかないよ」
先生は優しく答えた。
「うん」
そして
先生は抱きしめてキスをしてくれた。
「ねぇ先生?
このまま時間が止まれば
いいのにね。
そしたら、ずっと一緒に居られる
先生じゃない先生と・・・」