翌日から

桂木先輩の姿を目にする事はなくなった。



でも、部活では相変わらず集中できず

顧問の先生は呆れて私にプレーをさせず、見学をするように指示した。





部活終了後

マユを捜したが見当たらなくて

早めに片付けを終えて、部室で帰る支度をしていた。


その時

突然、部室のドアがガラガラと開き


「萌、直江先生が呼んでいる。
数学準備室に来てほしいって」

マユが息を切らせながら私に伝える。






「…行けない。だって会えない」



そう言いながら、その場に座り込み泣いた。


「萌、今行かなきゃ。
先生待っているよ?」

マユは諭すように声をかけてくれるが

「でも何て話せばいい?
…どうしていいのか分らない。

怖いの…」


私はなかなか一歩が踏み出せない。


マユはそんな私の肩を掴んで向き合い

「行きなさい」


と私の背中をやさしく押した。




迷いながら
ゆっくりと立ち上がり

涙を拭いた私は


先生の待つ数学準備室に走った。