数学の授業。


教壇に立った先生は

「休みはいないか?」

聞きながら教室を見渡していく。



そして

私はそんな先生を見つめる。


その時、目が合って

私はすぐに視線を逸らした。


その目があまりにも真っすぐで

吸い込まれてしまいそうで

見つめることに耐えられなかった





教壇に立つ先生は

届きそうで届かない。


黒板に公式を書いている

その背中は遠い。





私は体育館でも廊下でも

どんなに遠くて人が沢山いても、先生だけはすぐに見つけられる。



長身に細身で
柔らかそうな癖のない髪。

綺麗な指に

腕にはどこかのブランドの時計。

とてもスーツが似合っていて、
ネクタイのセンスも私好み。


でも、校舎の中ではスポーツメーカーのサンダルを履いている。

誰でも思わず笑顔にしてしまう笑った顔。

怒ると逸らしてはいけない気にさせる鋭い目。



全部思い出せる。



黒板に数式を書く前に

少しだけ袖をあげる癖。

真剣な話をする前には

ネクタイの結び目を触る癖。





私はこんなにも先生のこと見ている。






先生には
私がどんな風に映っている?