その時
「時間ですよ」
理事長は声をかけ
そして椅子に座った。
「羽田さん、今日は帰りなさい。
電話で処分を言い渡します。
直江先生はこれから始める職員会議に出て下さい」
理事長はそう言うと
山のように机の上に置いてある書類ひとつづつに目を通しているようだった。
そして
私たちは理事長室を後にして
別々の方向に
お互いを決して振り返ることなく歩き出した。
教室に戻り帰る支度をした。
みんなの視線を浴びながら教室を出て
‘これから、職員会議を行いますので職員の皆さんは至急、職員室にお集まりください‘
流れる放送を聞きながら
慌ただしい廊下を歩き昇降口に向かった。
その日の夕方
一本の電話が鳴り
私の停学処分が決まったことを告げた。