「大人って?高校卒業したら?それともハタチになったらってこと…?」



「ああ……、あっ、そうだ」






すると優祐は何か思い付いたように、私の方を見てきた。






「知ってた?この辺の地区の成人式って、この中学の体育館でやってるらしいぜ」



「え?そうなんだ…、全然知らなかった」



「だから……、もしさおりが覚えてたらだけど…」






優祐は一息ついてから、また私の上に置いた手に力を込めた。








「成人式で会おう」



「成人式…?でも、優祐は……」



「俺、あっちで成人式に招待されても、こっちに顔出すから。だから、それまで…」






成人式まで、5年とちょっとある。






今から5年後。





はっきり言って、想像すらつかない。






「成人式までさ、お互い色んなことがあると思う。だから本当に、さおりも俺も覚えてないと果たせない約束だと思うけど……」




「…それでもいいよ」






5年後のことなんて、今の私には関係ない。





ただ、優祐ともう一度会えるのであれば。





私はその時まで、何があっても頑張れる気がした。








…こんな、もろい約束にすがりつきたい程、優祐との別れのカウントダウンが迫る私は不安に押し潰されそうだった。