全速力で街から遠ざかる車。
それと行き違うように。
「!!」
上空を白い尾を引いて、二つの飛翔物が通過していくのが見えた。
「皆さん背後を見ないで、目をやられますよ~!」
山田が叫ぶ中。
「!!!!!!!」
遥か後方…美原市を中心とした地域が、凄まじい閃光に包まれた。
一つの飛翔物は陰島周辺の海域に、もう一つは美原市に落着。
凄まじい熱線と爆風を伴い、何もかもを焼き尽くす。
核ミサイル。
死をも捻じ曲げた亡者達に鉄槌を下すように、その核の炎は全てを真紅の世界に染め上げた。
如何に不死のゾンビだろうが、核の威力の前ではひとたまりもない。
10万もの屍の軍勢が、一瞬にして焼き尽くされて地獄へと還っていく。
その光景を、純達は遠く離れた車の中から見ていた。
…愛する街が、キノコ雲の中に消えていく。
家も、仲間も、住み慣れた土地も、何もかも飲み込んで…。
放射能に汚染された、生物の住めない枯れた大地へと変えていく…。
彼らは確かに生き残った。
しかしその代償として、彼らはそれ以上に多くの尊い犠牲を払ったのだ…。
陰島、美原市におけるゾンビ災害。
その犠牲者数、合わせて約13万人。
最早隠し切る事のできない甚大な被害を出した事で、この国は混沌の時代を迎える事となる…。
長丁場お疲れ様でした。
『屍都市』完結です。
今回も多くの読者さんと参加者の皆様に支えられ、何とか完結する事が出来ました。
気がつけば200ページオーバー。
僕にしては大作の部類に入ります。
それもこれも、前作同様魅力的なキャラ設定をしてくださった参加者の皆様のお陰だと思っています。
このシリーズの要は、何より参加者の皆様のキャラ設定なのです。
本当に有り難うございます。
また、のたおキャラを生き残らせておきなから、参加者の方のキャラを死なせるという無礼もしてしまいました。
今回限りの無礼と致しますので、どうかご容赦いただきたいと思います。
続編の方も期待されていますが、それはまた後程という事で(笑)
最後までお付き合い頂き、有り難うございました。