「優しくてカッコよくて…なんでもできちゃう理想の男!」
「そんなに?」
とあたしが首をかしげた瞬間だった。廊下から女子の黄色い声。
「‘志波くーん’♪今日は一緒に帰ってくれるよね?」
でた。美樹いわく王子な志波。
美樹の話を聞くうちに少し気になってたんだけど…
どんな奴なんだろ。
「ごめんね、今日は予備校があって」
「えぇ~、志波君こないだもそういってたじゃん~。嘘バレバレぇ」
甘ったるい声。まるで猫が喉をならすようにたくさん聞こえてくる。
窓の桟に隠れて見えない志波の顔。
一体どんな…―――。