「姫様……やはりおやめになられたほうがよろしいのではないかと…」



「どうして?」



その日の夜、私は専属使用人の市之助と話をしていた。中田屋のことで。



「中田屋を襲った悪党は今だかつて、いないような悪党だと思われますし……だいたい大富豪の中田屋を襲える悪党なんてそうそういないと思います!!姫様方だけでは危険すぎます!!」


市之助は必死になって私に訴える。
まぁ…確かにそうだけど。今回の悪党は今までの奴等みたいに簡単にはいかないと思う。きっとすごい奴等なんだろうと思う。
でも―――



恐れてちゃ蘭を救えない。苦しみから解放してあげることが出来ない。



だから私は行くの。
海と空と一緒に。



「うん…分かってる。でも行かないとだから…もう引き下がれないの。アイツらを潰さないと蘭がいつまでも苦しみから解放されない。それに私も納得いかないし」



「そう……ですか」



「ごめんね市之助」



私は申し訳なさそうに謝った。



「大丈夫ですよ!!姫様の無茶には慣れてますから(笑)」



市之助は微笑んだ。



「なによ、それーっ!!」



私は市之助の肩を叩いた。


市之助に父には黙っていているように伝えた。



あの人に伝わったらまた面倒なことになるだろうし。


それに何も協力してくれなかった。まぁ最初から期待なんてしてなかったけど…


その後私は眠くなり、いつもより早く布団に入った――…