――中田屋。



「――あのっ!!私、久喜桜ですけど蘭いますか!?会わせて下さい!!」



中田屋の使用人はすばやく私に頭を下げた。



「ようこそおいでくださいました、桜姫様。
蘭様はご自分のお部屋におられます。」



「ありがとう、蘭の部屋ね」


私は軽くお礼を言うと蘭の部屋へと急いだ。



蘭……待ってて



すぐに行くから!!



「――蘭っ!!」



私は勢いよく扉を開けた。中には少し疲れた顔をした蘭の姿。



「桜……久しいわね…元気だった?」



蘭は力なく言った。



「蘭……あのさ…」



「ほんっとびっくりだよねー!!いきなり死んじゃうなんて」



「え?」



蘭は私のほうを向くと無理に作った笑顔で微笑んだ。


「この間まで元気でピンピンしてたのに、うちの売り上げを恨んだ悪党にあっけなく殺されたなんて…なんかまだ信じられなくてね…明日になればまた何事もなかったように帰ってきてくれるような気がして…」



「蘭……」



「まぁ…もう起きちゃったことは仕方ないんだけどね!!しょうがないってことで――」



「なにがしょうがないのよ…」



「え?」



「なにがしょうがないのって言ってんのよ!!」