「――桜」
いきなり名前を呼ばれ、ビクッとした。
紛れもないあの人の声。
振り返ってみると…
「お父様……」
私の目の前には現れたのは父だった。
「……何の用?めずらしいじゃない、下人を使わずに直接私の所に来るなんて」
私はわざとらしくそう言った
「実の父親にその口のきき方はないだろう。」
「別に…」
私は父を見ずにそっぽ向いて言った。早く出ていかないかな…
「昨日は心配したんだぞ。お前が勝手に城を抜け出したりするから…」
「別に…ただ城の外の空気を吸いたかっただけよ。別に悪いことはしてないわ」
私はそう言い切った。
父は怪訝そうな顔で私を見る。
「……最近、剣術の稽古にも出てないみたいじゃないか…そんなんで次期将軍と言えるのか?」
「別に剣なんて稽古なんか出なくても充分出来るわ。私は男にも負けたことはないのよ?」
私は力強く言った。
剣だけは自信があるから!!