「いるかしら…」



私は足音を立てないようにそうっと歩いた。



牢の中にはたくさんの父に逆らった使用人達が捕えられている。
こんな時間だからかみんな寝ているようだ。



それはそうと早く空を探さなくちゃ…!!



「――さ…くら…?」



私は名前を呼ばれ、ゆっくり振り向いた。



忘れるハズもない、大好きな声。


「――空っ!!」



そこには鉄格子ごしにこちらを驚いたように見る空の姿。



「桜、なんでここに…」



「使用人が教えてくれたの…城の牢にあなたがいるって」



「そう…か…」



安心したような笑顔を私に向ける空。



その笑顔を見たら、なぜか涙が溢れてきた。



「……桜!?どうした!?どっか痛い!?」



「……っ…会いたかった…」



私は涙混じりの声で言った。