私は不服気にため息をつくと城の中へと入ろうとした――その時。



「――桜っ!!」



名前を呼ばれ、聞き慣れた声に私は振り返った


「――空……」



そこには息を切らし、少し汗をかいた空がいた。



「……桜」



空は低い声で私の名前を呼ぶと私を抱き寄せようとした。



でも――



ドンッ!!



「やっ…!!」



気付くと私は空を突き飛ばしていた。



やめてよ…



そんな他の女に触れた手で


優しくした手で



私に触れないでよ