私は少し涙目で空に訴えた


「ねぇどうしよう空。私ちゃんと言えないかも…」



私は小さな声で言った。
すると空が私の手を握って言った。



「桜。これは蘭ちゃんのためだろ?今、桜がしっかりしないと蘭ちゃんは一生苦しむことになるかもしれない。それでもいいのか?」


私は空の手を握り返した。


「そ、そんなの絶対やだ!!」


即答だった。



「じゃあちゃんと言ってやれよ。蘭ちゃんのために」


私は頷き、1つ深呼吸すると蘭を見た。



「あのね、蘭。蘭のご両親が殺されたのは資産目当てだっただけじゃないの。
実はね…新条は蘭のことが好きで…蘭を自分のモノにするために蘭のご両親を殺して資産も自分のモノにするつもりだったみたいなの」



私は蘭から目を逸らさずに言った。



悲しいけど
これが現実だ。



するも蘭は震える声でボソリと呟いた。



「……なによそれ…」



その声は悲しみや憎しみがこもった蘭じゃないような声だった。