そんな俺は、ある日突然一人の男に出会った。

本屋で写真の月刊誌を立ち読みしている時だった。写真はカラーよりモノクロが好きだ。光の入り過ぎていない、古いものが被写体となっているものが特に好きだ。


『すみません』

男の声がして、ポンポンと肩を二度と叩かれた。すっかり夢中になっていた俺はビクッとしてその男の顔を見た。

そして再び驚いた。そこには紛れもない、俺が立っていた。顔立ち、背格好、肌の質まで、まるで俺そのものだった。

その男はスーツにネクタイ姿だったが、本当に着ているものが違う位で、笑うと顔の右半分に表情が片寄る所まで、本当に俺そっくりだった。俺が声も出せずにいると、向こうが続けて話かけてきた。

『あの、ここじゃアレなんで場所移しません?』

一体何の話だ。わけもわからずだったが、俺は頷いて、その男に着いて本屋を出た。