太陽が照りつける夏の日。その日も変わらず地獄の部活は行われていた。

「早くゲームにならんかな」


疲れ果てた顔で、コーチの目を盗んで話しかけてきた。丸顔に目のクリっとした人なつっこい雰囲気の坊主頭。『ぐっちゃん』だ。


「もう11時だし、そろそろじゃね?」


僕は正面を見ながら返す。


『ピーッ』


コーチが笛を吹く、と同時に生徒達が全速力でコーチの元に集まる。


園田コーチ。教員ではなく外部からのコーチなのだが、うちの県のバスケ界ではかなり有名な人らしく、バスケ部の実権を握っている。


「よし。ゲーム始めるぞ。AチームとBチームに別れろ」


再度全速力で生徒が散っていく。