見たくもない試合。
うちは圧勝だ。近隣にうちに敵う中学はない。
二年生もしっかりと活躍している。


「ハゲ、ご機嫌だね。」

ぐっちゃんが口を尖らせながら話す。
『ハゲ』は園田コーチのことだ。


「くそハゲが。何考えてんだ」


僕も愚痴をこぼす。


僕らはこの試合に3年生を出さなかったことに対してキレていた。


何の努力をしたわけでもない。勝手に最後の大会は3年生は全員試合に出すと思いこんでいた。そこにこの仕打ち。僕らの脳裏には最悪のシナリオが浮かびはじめていた。


まともに考えれば至極当然に起こりうる出来事を、まるで鬼畜の仕打ちのように捉えていたんだ。