「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」

体育館に歓声が響き渡る。



市内でも随一のバスケ強豪校、その体育館では今まさに『中体連バスケ 市予選決勝』が行われていた。

対戦相手は決して弱くない。そのディフェンスの姿勢の低さが全てを物語る。


しかしー


『ザシュッ』


ディフェンスを完全に振り切った形で放たれたシュートはまたしても相手ゴールに突き刺さる。

ー「キャーー!!!」

一瞬の静寂の後、体育館のガラスが全て割れてしまうかのような歓声が起こった。


この日は全校生徒が授業を休み、バスケ部の試合を見学している。全校応援だ。


市予選決勝を圧倒的大差で試合を進める展開に、まるでお祭りのような騒ぎ様だ。

「一本!!ダンッダンッッ、一本!!」

メガホンを持つ応援団にも気合いが入る。

それに呼応するかのように、また背中に4を刻んだ選手が密集したディフェンスに縦の線を引きながら割り込んでいく。


『ピピーッ!!』
「ファウル!バスケットカウー……」


審判の声はそこまでで、またあの歓声にかき消されてしまった。


「やっぱ、曽我センパイすごすぎるって!」


応援団のバスケ部1年生は、自分の先輩を誇らしげに語り始める。


「いーぞいーぞソーガ。いーぞいーぞソーガ。」

生徒で満席の観客席の中、応援団がまた声をはりあげた。



ーそう。おれだ。