じぃサンの拳が彼女を何度も傷つけた。

少し腫れてきたであろう彼女の眼が、
俺の眼と視線をぶつけた。

「…ハィ、金。さすがに相手は女だぞ。」


じぃサンに殴りかかろうとする少女を連れ、
近くの公園へと向かい、歩く。歩く。

ベンチに腰掛ける。


「…ナゼ、カカワッタ?」ぁのトキ、確かにそんな聞こえ方だった。
冷たい、感情のナイ音。

「イイから、食えょ。
腹、空いてんだろ。」

「スマナイ。」

少女は、ぁりがとうとは言わなかった。


時間をかけて食べた後、なにもせず時間を見送った。

ゆっくり、夜の闇に溶けていく。2人、ゆっくり。

気づけば、真夜中。
警察に見つかれば面倒な時間だ、

「カエラナクテイイノカ?」
「大丈夫、1人暮らしだし。」
「ヒトリカ。」
「そっちこそ大丈夫なのか?」
「誰モ、マッテヤシナイ」
群青色の会話が、暗闇で灯る。
「俺も、親いねーし。」


「亡くなったの?」

初めての、ひらがな。
どことなく優しい口調は、同情とは違う、彼女の感情のカケラだったのだろぅ。


「ぃや…んな訳ぢャ」

「そぅか。。」


これ以上の会話は、しなかった。