町外れの寂れた小屋……家の前で馬車は止まったが、そこで問題が起こった




「だからどこにそんな娘がいるってんだよ!」


「確かにいたんだ!……逃げられたんだ!」



怒りに震えた拳を握りしめて、憤ったように喚き散らす男をうんざりしたように団員の男が話していた



「だが、いないことには金は払えねぇよ」



冷たくあしらう団員に男がしつこく喰ってかかる
その様子を馬車の中からレイブンは見ていた



がせネタだったのだろう……紅い翼なんてあるはずない



レイブンは視線を外して檻の中に戻る



「コレ外せよ、俺寝るから」



鎖を差しておばさんに言えば、やれやれといった様子で鎖を解く


直ぐに檻の中に入れられるが、コレは必要なことだ



今までレイブンは逃げようとしたことはない
暴れたこともなく、嫌みや生意気なしゃべりをしようと、レイブンを檻に入れている連中からすれば都合がいいのだ






そう、ちゃんと逃げる為にはそういった準備が必要だった