のどかな風景の広がる小さな町に見せ物小屋の馬車が立ち寄った



鎖に繋がれたままのレイブンは、馬車のなかで身を隠すように座っていた



「こんな小さな町で稼げんの?」



同じ馬車にのるおばさんに特に関心もなく聞けば肩を竦めて言う



「ここに赤毛に紅い翼の娘がいるらしいから買いに来たのさ。本当にいるのかね?アンタみたいなのが」



最後は嫌みったらしく言われたが、それよりもその内容に眉を寄せる



……赤毛に紅い翼?
そんな人間がいるだろうか?



いくら自分という異端児がいるとはいえ、見せ物小屋で旅をしてきて同じような人間を見たことは一度もなかった



そこまで考えて、レイブンはふと自嘲するように小さく笑った



……自分と同じ?



そんな人間いるはずがない


……いや




これから同じになるのだろう



売られて、鎖に繋がれて





籠の中の飛べない鳥のように