振り返ればそこには
 さきほどの可愛らしい声の
 持ち主、鈴木杏樹と
 ニッと満面の笑みを浮かべた
 曽根ヒカリが立っていた。


 「2人ともおはよー!」
 「おはよ~っ!杏樹、ヒカリ」


 可愛らしいツインテールをした
 ヒカリは、遠慮せず明里の膝に
 座ると、下がりかけていた黒の
 ソックスを太ももまでたくしあげる。


 「いやいやいや、ヒカリ重いから!」
 「明里ひどいっ重くないもん!」


 口を尖らせながら
 速攻で抗議をするヒカリは
 楽しそうに笑った。
 それは明里が本気で言ったのでは
 なく、からかっているのを
 ヒカリ自身が分かっているからだ。

 そんな2人のやりとりを見ていた
 私と杏樹は、一緒に微笑む。