あははっと笑い合い、
 一瞬の息をつくと…
 2人の間に沈黙が流れる。

 そんな沈黙を破るかのように
 陽介先輩が口を開いた。


 「…美緒、」
 「――――はい…、」
 「今までありがとな」
 「いえ!こちらこそ
 ありがとうございました」


 きゅう、と胸が締め付けられる。


 「短い間だったけど、
 オレ美緒のこと忘れねーからな!」


 桜の蕾を見上げながら、
 ゆっくりと言うその言葉と
 陽介先輩の横顔を見たら
 さらに胸が締め付けられた。

 そう言って視線を私に戻した
 陽介先輩の目は、どこか寂しそう
 で、そんな自分を誤魔化すように
 出会った時と同じみたいに、
 くしゃくしゃと私の頭を撫でた。