お土産に買ってきたのだという、ちっぽけな手持ち花火に火をつけながら、俺は家族とともにキリ姉との久々の再会を喜んでいた。


覚えていることは少ない俺だが、キリ姉のことはハッキリと覚えている。

近所に住む、俺より二つ年上の、とにかくおてんばな女の子だった。

俺の母親の前では礼儀正しいのだが、姿が見えなくなるとがらっとキャラが変わる。

「ウチの子、面倒見てね」という母の言葉をどう受け取ったんだか、それはそれはいいように扱われたもんだ。

一度など、スイカ割りと称して俺の頭にスイカをぶん投げてきたことがある。

頭が真っ赤になって帰った俺を見て青ざめる母に、「スイカだから!」と必死になったのはいい思い出……でもないな。