「あ、ちょ!」


「なんか光った! わ、キレイ」


折り畳み式のケータイをかぱかぱと開閉させる手つきはとても不器用で、見ていて危なっかしくて仕方がない。

今にも壊されそうだ、とか思っているそばから逆側に開閉しようとしてるし!

やばいやばい、今みしみしって不吉な音がした気が!


「け、ケータイだよ、知らないのか?」


「ケータイ? ふーん、よくわかんないけどキレイね。テレビみたいなもの?」


田舎の子はケータイも知らないのか。

電波圏外なこの地域では不要なものかも知れないが、それでも珍しい。

少女は光り輝く液晶画面をしばらく物珍しげに見つめた後、


「コレ、ちょうだい?」


非常識なことを言ってのけた。

もちろん俺は慌てる、そりゃ慌てる。