「でもこれだけ大きいと、足元見えなくなっちゃいそうだね」


「詩的なことを言うね君も」


言いながら、そういうものなのかもなぁ、とか思う。


確かに身長が伸びて、見える世界が広がって。

でも、俺はここで過ごしたであろう日々をこんなにも忘れてしまっている。

昔は何もかもが楽しく見えていて、こんな田舎でも毎日がすごく早かった気がするのに、今の俺はどうやって時間を潰せばいいのか、そればかり考えている。


まぁその点に関しては、紫に感謝すべきだろうな。

退屈はしていない。よくも悪くも。