少女は俺の言葉を聞いて、一瞬だけ、外見とはまるで不釣合いな、無表情になった。

けれど、それは本当に一瞬で、瞬きをした次の瞬間には、少女の顔ははにかんだような、イタズラっぽい笑みに戻っていた。

あれ、気のせいだったかな。


「さて、なんででしょう?」


くすくすという笑い声が聞こえてきそうな、そんな声だった。

愉快そうに尋ねる少女に対して、俺はうーんと唸り声をあげ、自分の記憶を必死に引っ張り出そうとする。


確かに子供の頃、ここいらの子供と遊んだ記憶があるが、しかしそれはあくまで同年代の人間が相手だった。

目の前の少女はどう見ても小学生。

計算が合わない。

誰かの妹だった、とかか?

いやでも、妹なんている奴いたっけか。思い浮かばないな。