「別にいーじゃない、記念!」


「なんの」


「なんでもいーから! ほら!」


言うが早いか、紫は俺の隣に腰掛けると、こちらに顔を寄せてケータイをこちらに向け、即シャッターを切った。

手際がいいな、っておい、チーズとかなんか、掛け声しろよ。


「わー、悠君変な顔で写ってるー」


早速画面を確認して、紫がにやにやと笑う。


「ちょ、おい俺にも見せろよ、つーか消せ!」


「やだよー、消すなら見せないよー」


けらけらと笑いながら紫が逃げ回る。

昨日の追いかけっこで懲りてる俺は、さすがに本気にはならない。

紫もそれを分かってるのか、昨日のような俊敏さはない。

まぁ、後で取り返した時にでも消せばいいだろう。