「どれにするよ?」


後ろでじっと待っていた紫に一応声をかけると、少し悩んでやはりラムネを選んだ。

俺もそれにするか、とラムネを二本取り出す。


「つーかさすがに出てこいよ……おばちゃーん!」


レジの前で大声を出すと、ようやくのそりと奥の居間から、店主と思しきおばちゃんが出てきた。

子供の頃に何度か見た顔だが、しかし何年経っても変わらないというのも恐ろしい。

まるでこの駄菓子屋ごと時間が止まってしまっているかのようだ。

妖怪かよ。