「ねぇねぇ悠君」


ひとしきり水をかけあった後、ぼーっと過ごしていると、紫がふと俺に声をかけてきた。


「喉渇いたね」


「目の前に大量の水が流れてますよお嬢様」


「ふぅん、悠君、女の子にラムネの一本もおごる度量もないんだ?」


ストラップをちょいとつまんでケータイを揺らす紫。

俺の扱いにも慣れたもんだね。

そのまま川に落としたらさすがに俺は泣くぞ。



「はいはい」と、十分に足が乾いていたのを確認してから俺は靴を履いて立ち上がった。

紫もそれに続く。