「気持ちいいでしょ?」


「あー、極楽だわ」


「なにそれおじいちゃんみたい」


けらけらと笑いながら水をかけてくる紫に、俺も軽く足で水を蹴りあげ反撃する。

昨日の追いかけっこが嘘のように、落ち着いた時間というか、静かな時間だ。


「悠君もこっち来れば? 気持ちいいよ?」


紫の提案に、俺は難色を示す。

うーん、そこまではっちゃけられない。

濡れるのが億劫に感じてしまう。

こういう時、自分がもう子供じゃないんだなぁ、なんてつい思ってしまう。

まぁ動かなくても十分楽しいしな、なんて。

別に泳げないとか、そういうわけじゃなくて。

クロールとか超得意だし。